2022.12.15

Part4"世界栄養学界の先駆者 佐伯矩先生のこと" 雑誌『日本食生活』より

『マート・オブ・ジャパン』エドガー・ライタ著

自暴自棄的手段に、この国をかり立てるところのものは、移民を嫌う性質である。だから日本は、自分自身を救わなければならない。

佐伯博士は、・・・多数の人びとが自信を正しく養っていない。もし正しい栄養をとっていたら、もっともっと長生きし得たであろう・・・と考えた。そして生物学的、科学的立場から、栄養(素)の標準を作り出している。それによって日本は非常に利益を得ることであろう。

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佐伯博士の意見では、日本人は十六銭で全栄養量を得ることが出来る。この金額は、ヨーロッパ人を驚かせたかもしれないが、この金額で物を買うということは、日本人にとっては精神的にも肉体的にも十分効果があるというのだ。

佐伯博士は、学説のいくつかを私に話した。たとえば日本人の平均栄養必要量を如何にして計算したか・・・。十六銭の献立をどういうふうにして作成したか・・・等・・・。彼の、最も重要な実験結果は、安静時の人間でも、エネルギーを要するということを、最初に発見したことであった。というのは、この学説は、既に世界中の科学的研究の基礎となったからである。

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三年間かかって三千人の人びとにつき実験した。人間のエネルギーを計るための佐伯式装置の中にその人びとを閉じこめ、出来るだけ安静に、指一本でも動かさないような状態で、二十四時間ねかせて実験したのだ。

これによって正確なる、カロリーの必要量を算出し、その平均値をとることにより、必要なエネルギーの総計を計算することができ、それから、その実験は更に進み、その人びとについて動作について研究された。